PROJECT STORY

STORY 02 和歌山県隧道内配管プロジェクト

  • 堀脇 隆広 Horiwaki Takahiro

    代表取締役

Project Outline

2017年12月から2019年3月の期間をかけた大型プロジェクト。戦後すぐに造られた工業用水を送るパイプが老朽化し、水漏れが発生。半永久的に使用できるポリエチレンパイプに変更することに。これまで特殊汽罐が行ってきた案件では初めてなほど大掛かりなプロジェクトだったそう。狭い空間にパイプを送り込まないといけないという課題に対して、「電動ローラー」という新たな手法を使い、解決へと導いた。

戦後すぐにできた配管を修復する大型プロジェクト。

  • 和歌山県隧道内配管は、工業用水を送る直径1mほどのコンクリート製パイプであり、戦後すぐに造られたものです。当時は人力で約1.2kmほどのトンネルを掘り、コンクリートパイプを手作業で運んで接続していたこともあって、何度も修復を繰り返してきた歴史があります。今回の老朽化に伴い、水漏れが多く発生していたこともあって、半永久的に使用できるパイプへと変更するプロジェクトがスタートすることになりました。2017年12月から2019年3月までの長い期間をかけた大型プロジェクトです。

パイプを押し込むための機器を開発。

  • 実際のプロジェクト工程は以下のように進んでいます。

    ① 仮設パイプを設置するための足場の確保
    ② コンクリート製パイプ上に仮設パイプの組み立て
    ③ コンクリート製パイプから仮設パイプに水の流れを変更
    ④ コンクリート製パイプの撤去
    ⑤ 本設パイプのルートの調査、仮設パイプを受ける架台の設置
    ⑥ 撤去したパイプ部分に本設パイプ(直径560㎜)の設置

    トンネル内の状況はとても複雑で、昔の人が手彫りで掘ったこともあり、真っ直ぐではなく曲がっていました。さらにはコンクリート製パイプとトンネルの天井との隙間はわずか350㎜ほどしかない箇所も。そのため、まず初めにルート調査を行い、パイプを運ぶための電動ローラーを設置しました。さらには作業員が安全に移動できる空間も視野に入れておかなければなりません。総重量22トンものパイプを送り込むには、ワイヤーを巻き取るウィンチを使用する必要があり、設置することで、効率的な作業を行いました。

    今回のプロジェクトで最も重要だったのは、本設パイプのルートを決めることです。今回使用するパイプはポリエチレンで出来ており、曲がりやすく、衝撃に強いパイプになっています。直径560mmあるポリエチレンパイプを曲げながら送り込む必要があったため、ルートを決めるうえでとても繊細な計算が必要でした。

    さらには、パイプは引っ張ってしまうと真っ直ぐに伸びてしまう性質があるため、本プロジェクトではパイプを送り込む必要がありました。パイプに衝撃を与えることなく、決められたルートに送り込む方法として、電動ローラーを100mおきに計12基設置することで、均等な力で送り込むことに成功しました。この電動ローラーに関しても、特殊汽罐がオリジナルで開発した機器になります。

100年先も続く仕事ができた。

  • プロジェクトを実施するにあたっては、安全確保が重要な課題でした。1.2㎞トンネル内での作業は危険を伴います。トンネルで作業している作業員との連携が取れないと事故につながってしまいます。トンネルの中だとトランシーバーの電波が届かないため、通信線を100mごとに通すことで電話が繋がるようになり、電話の子機でコミュニケーションを取れるようにしました。

    今回のプロジェクトの成果として、コンクリート製パイプからポリエチレンパイプに交換することで水漏れの問題が解決されただけでなく、大きな地震でトンネルが崩壊しない限り、半永久的に使用できるようになりました。パイプの長さから重さ、狭さ、連絡手段など、全てが初めてのプロジェクトでした。それでも無事に成功することができ、100年先も続く仕事ができたことを嬉しく思っています。